【ビジネス】一流の思考法〜相手に伝えるべきメッセージの要素と伝わらない場合の落とし穴〜
コンサルタントに限らず、仕事とは人とのコミュニケーションの連続であり、常に情報や考え、提案のやり取りを行うものです。
情報や考え、提案のやり取りの中で、発信側のメッセージを聴き手側が正しく理解し、こちら側の望む反応をしてくれるまでの時間をいかに短縮できるかーー
ここが業務効率化への大きなポイントとなります。
ですので、多くの方々が、自分の言いたい事や重要だと考える事を相手に理解してもらうために、内容をまとめ、話し方を考えるのですが、なかなか思ったようにメッセージが伝わらない事があります。
そこで本記事ではどうすれば正確にメッセージが届けられ、相手に理解してもらえるのかを紹介していきます。
なお、本書は下記の本「ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル」を参考にしております。
1.メッセージに盛り込むべき構成要素
まず、メッセージの構成要素を考えていきます。
メッセージと言えば、「自分の意思を伝える」事だと思いますが、ビジネスにおけるメッセージとは「自分の意思を伝える」前に「答えるべき課題」の確認と、「相手に何をしてほしいのか」の想定する事が重要となります。
すなわち、メッセージとは以下の三点で構成されなければなりません。
①コミュニケーションにおいて答えるべき課題が明快である。「課題」
②課題に対して必要な要素を満たした答えがあること。「答え」
③相手に期待する反応が明らかである事。「相手に期待する反応」
この、「課題」、「答え」、「相手に期待する反応」の3点セットではじめてメッセージの定義が成り立ちます。
この中で、「自分の意思を伝える」という事は「答え」の部分にすぎませので、「答え」の部分を考えるよりも、まずはメッセージの定義に戻り、①課題を確認する、③相手に期待する反応を想定する作業を行わなければなりません。
それでは、①、③とはどういう事なのか紹介します。
1.1 メッセージにおける「課題」を確認する意味
あなたがどれほど素晴らしい考えや答えを持っていても、課題がズレていては相手の検討材料にはなりません。
ですので、メッセージは「自分の意思を伝える」方法を優先的に考えるのではなく、「自分が相手に答えるべき課題は何なのか」を自問自答し、課題に対する自分の答えはなにかと、考えることが重要であり正しいアプローチとなります。
コンサルタント業務では、顧客自身が問題意識がない、すなわち潜在的な問題を把握していないケースがあるため、商品やサービスを提案する以前に、何故それが必要なのか、どういう問題があるのかを認識してもらう事も重要となります。
「自分の伝えたい事」が◯◯を改善する方法だった場合、まずは◯◯を改善しなければならない必要性を共通の課題として認識する必要があります。
1.2 メッセージにおける「相手に期待する反応」を想定する意味
伝達をするとしても、相手から引き出したい反応を想定しながらするのとしないとでは、最終的に得られる情報に大きな違いが生まれますので、自分が「答え」を言った後でどういう反応が得られるのかを事前に想定しておきましょう。
相手に期待する反応としては以下の3点が挙げられます。
①相手に理解をしてもらう。
②相手に意見や助言、判断などをフィードバックしてもらう。
③相手に行動してもらう。
2. 「答え」をどのようにまとめるべきか
「課題」の確認と「相手に期待する反応」を想定した上で、いよいよ課題に対する「答え」をまとめることになります。
まず、「答え」には基本となる3つの要素があります。
①説明する答えの核となる「結論」
②結論の妥当性を説明する「根拠」
③結論がアクションである場合、それをどうやって実行するのかを説明する「方法」
この3つの要素をすでに意識してやっているよ、と思う方もいると思いますが、
それでも上手くいかない場合は「結論」、「根拠」、「方法」のどこかで陥りがちなミスをしている可能性がありますので、そちらをご紹介します。
2.1 「結論」が伝わらない時の落とし穴
2.1.1「答え」の検討段階で様々な問題が浮き上がり、結論が当初の「課題」から逸れている
与えられた課題にたいして、検討を行なっているうちに様々な発見があり、気になる事が増えるという事はよくあります。
発信側は様々な情報を経て検討を深めるため、当初設定してた課題とは異なる結論をまとめてしまう事があります。
そうなると聴き手側としてはなんで?となってしまいますので、課題を検討する中で新たな課題が現れた時には、まず相手から聞かれたことに答え、そのうえで、自分の提案を答える方がよいです。
2.1.2 曖昧な表現が多い
例えば、「状況に応じて」、「◯◯の場合に応じて」、といった言葉が出て来るときは注意が必要です。
状況や場合をしっかり想定出来ており、説明出来ればよいのですが、できないという事はきちんと問題が解決できていないと同じことです。
また、曖昧な表現は受けて側に勝手な解釈をされてしまい、話が噛み合わなくなることもあります。
2.2 「根拠」が伝わらない時の落とし穴
結論が課題に対して正しい答えでも、その根拠が相手に伝わらなければ相手を納得させる事はできません。
自分ではしっかり納得していても、相手側には根拠として不十分と捉えられる事もあり得ますので、以下の点に注意してください。
2.2.1 ◯◯がないから◯◯が必要だ、では相手は納得しない
例えば「課題」が「A商品の都市部での販売が減少気味で、地方では横ばい傾向にあるが、今後A商品の売上を増やすためにはどのような対策をすれば良いか?」
であった場合の「答え」の「結論」が「地方に人員を増やす」だったとします。
その際の、「根拠」が「地方では主に商品が専門店に置かれており、人員は少ないですが接客時間が都市部に比べて◯分も長く、リピーターも多いです。なので、地方の専門店に人員を増やし、顧客を獲得していくべきです。」
となっていれば根拠として筋が通っています。
しかし根拠が「地方には人が少ないので、人を増やし営業力強化を行う」では不十分に感じられます。
根拠とは、◯◯がないから◯◯が必要だ、では成り立ちません。
2.2.2 事実なのか判断なのかを曖昧にしない
例えば「本商品は若者ウケが良く無く・・・」という言葉を使った時、それが事実なのか、説明する側の感覚なのかどちらかわからない事があります。
事実ならばそれに至った根拠を、説明する側の感覚ならばその考えに至った根拠を説明する必要があるので、曖昧なまま話を進める事がないように気をつけましょう。
2.3「方法」が伝わらない時の落とし穴
方法は具体的に述べるという鉄則がありますが、抽象的な内容のまま方法をあげるというのは良くある話です。
マッキンゼーでも良くやるのですが、具体的な方法を自問自答で導く際には、So What、 Why soを繰り返す事がおすすめです。