【MBA】「良い戦略、悪い戦略」リチャード・P・ルメルト
リチャード・P・ルメルトは戦略家のための戦略家と称される大家です。
多くの有名企業、非営利組織、政府機関にコンサルティングを行っており、エコノミスト誌は彼を「マネジメントコンセプトと企業プラクティスに対し最も影響力ある25名」に選んでいます。
そんなリチャード・P・ルメルトの著書「良い戦略、悪い戦略」ですが、皆さんの会社が競合他社を圧倒し、未来を先んじる準備が整っている場合は読む必要はありませんが、少しでも未来に不安を感じている場合はきっと力になる一冊となります。
本記事では本書の内容について簡単にご紹介をさせていただきます。
1. 悪い戦略
少し前までは戦略ブームが起こっていたように感じられます。毎年のように新しい戦略が生み出されてきましたが、その中で本当に効果があった戦略がどれほど存在したのかは分かりません。
戦略をしっかりと運用しきれない場合は、運用体制に問題があると言えますが、そもそも戦略自体に問題があったのでは?と思うことも結構あります。
本書では、そんな悪い戦略の特徴を大きく4つ取り上げています。
以下の図に4つを紹介します。
悪い戦略は、問題を分析せず、思考をサボり、洗濯を怠った結果、生まれてきます。
毒にも薬にもならない折衷案も悪い戦略の代表例となっており、今日では、戦略も重要ですが、それらを立案・運用する人々の教育もコンサルタントの担う仕事となりつつあります。
もし、皆さんの属している組織の戦略がこれらに該当しているときは、慎重に真意を確認する必要があるかもしれません。
2. 良い戦略
悪い戦略は戦略の核がないと言えます。
それでは戦略の核とは何かですが、ルメルトは戦略の核を「診断」、「基本方針」、「行動」の3要素だと言っています。
「診断」
状況を診断(分析)し、複雑に絡み合った問題を解きほぐし、取り組むべき課題を抽出する。
「基本方針」
診断で見つかった問題に対し、課題を設定し、それらの対応として大きな方向性と総合的な方針を示す。
「行動」
基本方針を実行するために設計された一貫性のある一連の行動のこと。すべての行動をコーディネートして方針を実行する。
ここで一点意識して欲しいのは、戦略は設計した通りに行かないと言う事です。
戦略はあくまで仮定のもとで作られ実施されますので、随時軌道修正をする事が重要となります。
戦略を踏まえ、現場の動きをモニタリングし、出てきた結果を再び戦略へ還元し修正する。
この基本的なサイクルを実施することが何よりも重要で、一番危険なのは戦略が間違い出会った事を認めず、責任を現場に押し付ける事です。
一社員に会社の方向性を決定する権利は当然ありませんが、会社が示した戦略の意図を汲み取ると言う点でも、本書は非常に役立つ一冊だと思います。