【ビジネス】〜分断本能〜多くの人が世の中をAかBに分けて考えてしまっている
巷で人気を博している書籍「ファクトフルネス」の中に分断本能という言葉が出てきます。
FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2019/01/01
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
本能とは生まれつき持っている性質の事で、子孫を残すという意識や、知識を得たいという欲求なども本能の一部になります。
分断本能も人間が生まれながらにして持つ(もしくは環境の中で多くの人が見につける性質)性質のひとつであり、人間の行動に何らかのバイアスをかけるものとなっています。
では、分断本能とは具体的にどういうことを意味するのかをご紹介します。
1.分断本能とは
分断本能とは、物事をAかBのどちらかにカテゴライズしてしまう悪癖のようなものです。
この分断本能によって、医者や弁護士、政治家、ビルゲイツら著名人など、多くの人が世界を正しく認識できずにいると本書では調査分析しています。
例えば、先進国と途上国における女性一人あたりの子供の数と乳幼児生存率を示したグラフを見てみましょう。(図は本書にも記載されています。データの出所は国連です。)
このグラフからは「先進国では子供の数が少ないが死亡率はすくない」、「途上国では子供の数が多いが死亡率が高い」と読み取れます。
そして、やはり世界は貧しい国とそうでない国の二極化になっていると思いませんでしたか??
何故ならば、
途上国では、所得が少ない→労働力が必要→労働力として子供が多く必要
先進国では、所得が多い→労働力としての子供は不要→途上国より子供が少ない。
と理屈が立つからです。
実際、本書においても多くの人々がそのように捉えていたように記述されています。
きっと多くの人がこのグラフに何の違和感も抱かなかったと思います。
が!!
しかし、現状は違うのです。
実は上記の図は1965年の話で、2017年現在では以下のような状態になっています。
実は世界の人口の85%は先進国と名づけられた枠の中に入っており、残りの15%のほとんどは2つの枠の間にいます。いまだに途上国と名づけられた枠内にいるのは全人口の6%、たった13カ国だけです。
そしてグラフからはわかりませんが、世界中の75%が高所得者層でも低所得者層でもない、中所得者層に分類されているのです。
世界は皆さんが思っているほど貧しい人たちばかりではなく、多くの人たちが中所得者層の生活をしているのです。
そうにもかかわらず、多くの人たちが世界は「途上国(低所得国)」と「先進国(高所得国)の二極化になっていると思い込んでいるのです。
これはメディアや教育による影響もあるとは思いますが、物事をA or Bの二極化で考えてしまうという分断本能が働いているからなのです。
物事をA or B で捉えてしまう分断本能に気をつけ、AでもBでもないその中間に何があるのか、私たちは注意して見ていかなければなりません。
2. ビジネスにおいて気をつけるべき分断本能
ビジネスの場では意見の食い違いで、自分の考えが反映されないという事は良くある話です。
それが続くと、「自分はこの組織に合わないんじゃないのか?」だとか、「アイツとは意見が食い違ってばかりで、仲良くできない」とネガティブな考えに頭が支配されてしまいます。
そうすると、分断本能によって、自分 or 組織、自分 or 嫌いな人 という二極化の状態で物事を考えるようになってしまい、「自分は、組織や嫌いな人とはタイプが違うので、その人達のために献身的に頑張れない」という状態になってしまいます。
こうなってしまうと、職場が苦痛になってしまいますし、組織からの評価も下がってしまうかもしれません。
ですので、ただ 自分 or 組織、自分 or 嫌いな人 と考えるのではなく、組織や嫌いない人との間に、「考えが共通するところ」を探す事が重要となります。
わかりやすいところで言えば「お金を稼ぐ」は考えが共通するところになりますが、それよりはもっと深い部分の共通点を見つけ出せば、組織や嫌いな人に対する見方も変わってきます。
自分もつい先日までどうしても考えが合わない先輩社員が嫌で仕方ありませんでしたが、唯一の共通点を見つけた時、それまでの人間関係がお互いガラッと変わったという貴重な経験をしました。
ビジネスの場でも「自分はこう」で「あの人はそう」というように分けて考えずに、その間にある共通点をしっかり見極める事が重要となります。
3. 最後に
人は分断本能によって、物事を二極化して捉えがちになってしまいますが、既存のデータを読み直したりすることでそれらの考えを改める事ができます。
僕自身が世の中は裕福な国とそうでない国に分けられてると考えていったので、本書の内容は非常に衝撃的でした。
ファクトフルネスについて、面白い事があればまたブログで書いていこういと思います。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る