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【ビジネス】仕事のできる人が構築しているシンプルなルールはどうやって構築するのか

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仕事で成果を残す人は、良好な人間関係の構築や、複雑な問題の解決のために自分なりのルールを構築し、実践しているものです。

 

そしてそのルールは、難解なものではなく「シンプルなルール」として日常で使えるものとなっており、「スピード」、「実行力」、「柔軟性」を向上させます。

 

本ブログでは下記の書籍を参考に、仕事のできる人が構築している「シンプルなルール」がどのように作られているのかを紹介します。

SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える (単行本)

SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える (単行本)

  • 作者: ドナルドサル,キャスリーンアイゼンハート,Donald Sull,Kathleen M. Eisenhardt,戸塚隆将
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2017/08/21
  • メディア: 単行本
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1.〜はじめに〜 戦場で適用されたシンプルルールの絶大な効果

 

はじめに「シンプルなルール」が戦場で適用され成果をあげた事例をご紹介します。

 

戦場に派遣された医師は、限られた人数、設備の中で、自身も危険に晒されながら多くの負傷者を治療しています。

2004年イラクのアメリカ軍基地にいた医師は50人程だったそうで、数少ない人数でアメリカ兵、民間人、敵兵等の多くの人々を治療しました。

 

そのような状況下でありながらも、死亡率は驚くほど低く、実際、アフガニスタン・イラク領戦争でのアメリカ軍負傷兵の死亡率は10%程度となりました。

 

これは、18世紀後半に起きたアメリカ独立戦争での負傷兵の死亡率42%と比べると著しく生存率が向上したと言えます。

 

独立戦争当時と比較すれば、薬や医療技術が進歩した事も生存率を高めた要因であることは間違いありませんが、戦場医療が向上したという点も忘れてはいけません。

 

負傷者が大勢いる現場では、熟練の医療専門家でも難しい選択を迫られる瞬間があります。判断に要する時間が生死を分かつ状況下に置いて、アメリカ軍は第二次世界大戦時に、負傷兵を重症度や緊急度に応じて振り分ける戦場医療システムを取り入れました。

 

それがトリアージです。

トリアージとは選別を意味し、現代では日本でも大規模な負傷者が出たときに活用されています。

 

トリアージでは患者を見る際に

1.指示に従えるか

2.脈拍数が毎分120分未満か

3.呼吸数が毎分10以上30未満か

 

というルールに基づき、治療や搬送の優先順位を示す識別標を負傷者に付けていきます。

 

そして、緑ー軽傷群黄ー待機的治療群赤ー最優先治療群、黒ー死亡群 といったカテゴリー分けを行います。

 

トリアージの導入で、今日においても多くの命が助かるようになっています。

 

この負傷者を4つのカテゴリーに分類するトリアージはまさにシンプルルールの手本ともいえ、ルールをシンプルにすると、覚えやすく、時間も節約でき、集中力も維持しやすいといったメリットがあります。

 

戦場で導入されたシンプルなルールがこのような効果を生み出すのと同様に、仕事においても優秀な人は独自のルールを構築し、良いパフォーマンスを生み出している言えます。

 

2. シンプルルールを作るための原則

 

トリアージを例に「シンプルなルール」の紹介をしました。

この「シンプルなルール」を独自に作成し、仕事等で活用することは皆様にとっての強力な武器になります。

 

それでは「シンプルなルール」を構成するために必要な要素は何なのかをご紹介します。まずは原則としてシンプルルールの以下の4点を覚えておいてください

 

シンプルなルールの4つの原則

1.ルールの数が少ない

2.使う人に合わせてカスタマイズできる

3.具体的である

4.柔軟性がある

 

そして、原則に加え、複雑な社会だからこそ複雑の思考が良いという考えを見直し、問題や悩みを解決したいときはシンプルに考えるということを意識するようにしてください。

 

それでは、4つの構成要素が具体的に何を指しているのかをご紹介します。

 

2.1 「1.ルールの数が少ない」の具体例

 

シンプルルールの基本中の基本がこの「ルールの数が少ない」ということです。

 

例えば健康的な食事を取りたいと考えた場合、最も効果的な方法は栄養管理士やコックを雇い、毎日メニューを考えてもらうという方法があります。

自炊をする場合は健康雑誌にあるようなメニューを実践することになると思います。

 

前者は効果的ではありますが、裕福な人たちでなければ実践できないでしょう。後者は時間をかけ、教則本に従っていればできるかもしれませんが、決まり事(ルール)が多いため、継続できる人は限られるように思います。

 

それでは、健康的な食事を取ることを目的とした場合のシンプルルールはどうなるかというと、カリフォルニア大学教授マイケル・ポーラン(有名なベストセラー人気作家でもある)は以下のシンプルルールを提唱しています。

 

ポーランが健康的な食事を取る際に設けたシンプルルール

1.本当の食べ物を食べる

2.食べ過ぎない

3.野菜中心にする

 

このたった3つのルールを課す事で現状よりも健康的な食事になるというものです。

実際にこの食べ方は心臓病や肥満、糖尿病のリスクを下げる事が科学的に証明されています。

 

毎日〇〇を何種類、何グラム食べる。塩分は〇〇グラム未満に抑える、バランスを取るため何品以上を食卓に並べる、など多くのルールを作るのではなく、1つの目的に対してのルールは少なくあるように構築する事が推奨されます。

 

2.2 「2.使う人に合わせてカスタマイズできる」の意味

 

目的のために合わせて作ったルールでも、徐々に改善を必要としてくる事があります。ルールは常に実践と照らし合わせながら、カスタマイズして改善する考えが大切です。

 

2.3 シンプルルールが「3.具体的である」の必要性

 

何事に対してもですが、 適用範囲の広すぎるルールは往々にして「非現実的なもの」として軽く扱われてしまいます。

 

例えば、シンプルルールで、①省資源化を目指す、②手続きの簡略化・透明化、③無駄の排除を掲げた場合、現場で働く人たちからしたらビジョンとしては良くとも具体的に何をすべきかが曖昧で行動に困るといった具合になってしまいます。

 

シンプルルールは具体的でなければないに等しいものとなります。

 

2.4「4. 柔軟性がある」の意味

 

マイケルポーランが掲げたシンプルルールの(1.本当の食べ物を食べる、2.食べ過ぎない、3.野菜中心にする)は、ブルーベリーでもメロンでも青菜でもその時の気分に合わせて好きなものが食べられます。

 

このようにシンプルルールは目的を1つに絞るものの、ルールの範囲内なら状況に応じて自由にアレンジできるものとなっています。

 

 

 

3. シンプルなルールは心理的負荷をかけずにより優れた意思決定を生み出せる

 

マックス・プランク研究所の心理学教授、ゲルと・ギーゲレンツァーは「シンプルなルール」と「複雑なルール」どちらが良い結果に繋がるかを調査しました。

 

殺人事件の犯人像の割り出しでは、「シンプルなルール」に頼った方が複雑な分析よりも犯人に近づくことができ、また、ある店舗において顧客が同じ商品を購入する可能性の予測についても「シンプルなルール」に基づいた方が制度は高かったという結果が得られています。

 

ではなぜシンプルなルールは優れた判断に繋がるか場合が多いのか。

 

実際のところ、物事の相関関係は間違って理解されることが良くあります。

意思決定を行う人は過去のデータを遡ったり、歴史に学んだりして過去と未来をつなぐパターンを見出そうとすのですが、見落としがちなのは、必ずしも過去の事が未来にも繰り返されるとは限らないという事です。

 

それに過去のデータには有益な情報も含まれているが、ノイズも多い事を忘れてはいけません。

 

近年、IBMが女性の靴のヒールの高さと景気には相関関係があると報告しており、きちんとした経済理論を考慮せずに数字だけ見ていると、そこに相関関係があるように思えてしまいます。

 

しかし、景気とヒールの高さという事象は全く関係のなデタラメである可能性も高いのです。

 

この「ヒールの高さと景気の相関関係」といった枝葉末節を排除して、最も重要な文脈だけに目を向ける事ができるのがシンプルなルールとなります。

 

より良い決断をしたいのなら、細かい要素にこだわらずに、最も重要な物事に焦点を絞らなければなりません。

 

「シンプルなルール」を作れる人は、物事の本質をついてルールに沿った行動をしているため、「スピード」、「実行力」、「柔軟性」のある対応が可能となっているのです。

 

ですので、シンプルなルールの4つの構成を要素をベースに自分の仕事の本質をついたルールつくりを行わなければなりません。

 

4. シンプルなルールは大きく6つにカテゴリー分けされる

 

シンプルなルールの4原則を元に作られるシンプルなルールは主に以下のカテゴリーで構築されます。

 

◇物事を決断するルール

・境界線ルール(考量するか排除するか、YESかNOかを決める)

・優先順位ルール(時間や資金が限られてる中で何を優先してやるのかを決める)

・停止ルール(辞め時などのタイミングを決める)

 

◇物事をうまく進めるためのルール

・ハウツールール(自身や他社の経験からやるべき事を決める)

・コーディネテートルール(集団行動を円滑にするために決める)

・タイミングルール (いつ、実行するのかを決める)

 

 

例えば、うつ病患者を判断するために以下の境界線ルールを採用しています。

 

1. この一週間、泣く事が多かったか

2. この一週間、自分に失望することはあったか。あるいは自己嫌悪に陥ったか?

3. この一週間、自分の将来に不安を感じて、気分が落ち込んだか

4. この一週間、自分は人生の落伍者だと感じたか

 

この質問全てにイエスと答えた患者は、うつ病の可能性が高いと医師は判断します。

 

まずは、4つの原則を守り、かつ6つのカテゴリーの中から、自分が必要となるルールを作ってみる事をお勧めします。

 

5. シンプルなルールは本や自身の経験をベースに作る

 

本記事で紹介したように、シンプルなルールは4つの原則を元に主に6つのカテゴリーのものが作れます。

 

いろいろな本を読む中で自分のためになると思った内容や本質を短めに取りまとめたり、過去の経験からこれは役に立つと言うものを取りまとめることによって、シンプルなルールはより一層強固なものとなります。

この時、紙でもデータでも良いのでしっかりとメモをする事を心がけてください。

 

 

余談ですが、芸能人でいうと GACKTさんなんかも「自身はルールで生きている」と公言しており、自分ルールが自分を強くするとも言っています。

彼の場合は「美人がいたら口説く」、「買い物は値切る」などをしているそうで、これは元々人見知りだった自分を克服するために作ったルールだったそうです。

 

苦手を克服するためにルールを作るのもありなのかもしれません。

 

シンプルなルールを作るのは難しいですが、必ず皆様のためになることですので、ぜひ作って欲しいと思います。