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【ビジネス】温暖化対策をしない企業は将来存続できないかもしれない

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突然ですが皆さま。

 

iPhoneとiMacで有名な世界的な大企業Appleに、日本のイビデン(株)という会社が集積回路のパッケージ基板を提供しているのをご存知でしょうか?

 

あのAppleに日本の製品が使用されているとは驚きですよね( ´∀`)。

個人的には世界で活躍する日本の企業大好きです。

 

しかもイビデン(株)の凄いところはその技術力だけではありません。

なんと、Appleへ納品する製品の製造に要する消費電力分を再生可能エネルギーに切り替えをているのです。

 

tech.nikkeibp.co.jp

 

イビデン(株)は企業規模も大きく、環境への貢献意識の高さから再エネ導入を検討した面もあると思います。

 

しかし、その一方でこの取り組みの背景にはApple(メーカ)からイビデン(株)(サプライヤー)への取引条件として「再エネの利用」が含まれていた可能性があるのです。

 

Appleに限らずですが、海外企業の多くが、企業が果たすべき社会的責任(CSR)の一つとして、サプライチェーンにおける再エネ比率の向上を重視しています。

 

「へ〜すご〜い」と呑気に構えていてはいけません。

これは要するに、環境配慮をしない企業とは今後取引をしないという海外企業が増えつつあるという事なのです。

 

 

今回は何故この様な潮流が世界中の企業で起こっているのか、国内企業は今後どの様な動きを取る事になるのか、環境コンサルタントが順を追って分かりやすくご説明します!。

(たまには知的なところを見せたいんだぜ★)

1. 一番の動機はこいつ「パリ協定」

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(出典)United Nations Framework Convention on Climate Change

 

二酸化炭素の排出量が世界的な悪影響を与えているという前提のもと、世界各国は対応を迫られています。(二酸化炭素は関係ないんじゃ!という人も多くいますが、世界的な潮流は二酸化炭素の影響が濃厚との判断です)

 

20年くらい前から「二酸化炭素を減らすぞー!」と声は上がっていたのですが、アメリカがやる気がなかったりで、一部の国だけが削減努力をしているという状態でした。

 

しかし、2015年に採択された「パリ協定」では二酸化炭素削減のため、全ての国が参加する公平な合意がなされる事となったのです。

 

もちろん、政府同士が約束しただけでは二酸化炭素の削減はできませんので、各国での企業の協力が必要不可欠となります。

 

2. 二酸化炭素削減って企業圧迫?いいえ実は・・・

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(出典)http://www.buildup.eu/en/practices/publications/iea-energy-technology-perspectives-2017-0

 

企業は二酸化炭素削減のため、設備投資やエネルギー転換を迫られる事となります。

 

印象としては負担が増えるという感じですが、実はここに新たなビジネスチャンスがあったりします。

 

以下、各種報告書では、気候変動対策に関連した巨額の投資額を試算しています。

 

・Energy Technology Perspectives 2017(IEA 2017)  

 「2℃目標と整合するシナリオでは、建物、産業、運輸の3部門の省エネや電力部門の脱炭素化を達成するため、約1837兆円の追加投資が必要。

 

・Adaptation Finance Gap Report 2016(UNEP 2016)

「気温上昇を産業革命前から2°Cに抑えた状態では、適応対策費用(世界)が2025〜2030年 年間14~30 兆円、2030~2050年では年間28~50兆円」

 

・(UNEP-IRP 2016年)

「資源効率性の向上のために求められる9000億USドル(※99兆円)を投資すとと900~2500万人の新たな雇用が創出出来る(2030年時点)」

 

気候変動対策(二酸化炭素対策など)が潜在的な巨大マーケットとなっていることが提示されています。

 

3. 既に投資家はこの市場に目をつけている

 

世の中が二酸化炭素対策で動いている、そしてそこには巨体なマーケットがあることを知っている投資家は、国連責任投資原則(PRI:企業経営に置ける環境・社会・ガバナンスを考慮するESG投資)へ署名をしてます。

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(出典)https://mainichi.jp/articles/20181031/ddm/013/040/024000c

 

要するに、投資家にとって、財務諸表や経営状況だけが投資の判断材料ではなく、環境情報も投資の判断材料にしまっせ〜ということです。

 

そうすると企業としては、これまでの経営+環境への取り組みをしっかり行わないと、投資対象としての価値が下がってしまうという状態になってしまうのです。

 

4. パリ協定のために企業はSBTを設定する

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(出典)https://www.ykkap.co.jp/company/japanese/news/detail.html?s=20190130

 

企業としても環境対策の実行とそのアピールをしなければなりません。そこで、企業はSBT(SCIENCE BASED TARGETS)を設定します。

 

SBTは

▪️企業はパリ協定の目標達成を目指した削減シナリオと整合した目標を設定し執行する。

 

▪️企業単位の取り組みを投資家や金融機関に見える化し、投資を促す。

 

▪️スコープ3を含む、サプライチェーン全体で削減を目指す。

 

を主な取り組み内容としています。

 

さらには国際的なイニシアティブとしてRE100が掲げられます。

これは、企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄う事を目指すものです。

 

冒頭にあるようにAppleはRE100をサプライチェーンを通じて普及させようとしているのかもしれません。

 

5. SBTやRE0100は今後国内企業にも波紋を広げる

 

ここまでご説明した通り、温暖化対策はますます企業間で拡大していくことが予測されます。

 

まずは大手企業が取り組みを始め、大手企業のサプライチェーンを通じて中小企業へも波紋が普及していくでしょう。

 

この時、対応ができない企業は厳しい状況に追い込まれますし、逆にチャンスを掴む企業も出てくる事になると思います。

 

既に多くのコンサルタントが企業からの要求で動き始めていますので、我が社も頑張るぞーという方は環境省やコンサルさんに相談される事をお勧めします。中小企業でも取り組みをしているところはありますので、そういった情報を見るのもいいかもしれません。

 

 

 

以上、環境コンサルタントのブログでした!

ご視聴ありがとうございます。