【レビュー ・感想】 GACKT 「罪の継承 ~ORIGINAL SIN~」は生きることへの闘いの唄
1. 本作はGACKT史上最凶のMUSIC VIDEO
MVの初めは閉鎖的な部屋で拘束具や鎖により自由と視界を奪われたGACKTさんが登場します。
そこから過去の惨劇を映し出す描写が流れていくのですが、そこでは一人の少女によって猟奇的な殺人が繰り広げられていました。
狂った少女の犯行ではあるのですが、血に染まっていく大人たちは皆仮面舞踏会につける仮面を付けており、「変態貴族のアブノーマルな嗜み」から少女が自由を手に入れるために闘った結果とも見て取れます。
その場に居た幼きGACKTさんは目の前の現実を受け入れられず立ち尽くしているのですが、全てをやり遂げた少女から剣を託され、その剣を少女に突き刺す事となります。
正確には剣を持ったGACKTさんに刺されるよう少女が誘導したのですが、倒れた少女と惨劇の後で幼きGACKTさんは一人静かに笑うのです。
ここから冒頭の大人GACKTさんに戻るのですが、ここでは拘束されながらも何かに強く争う姿が映し出されています。
2. 残虐なMVの裏に秘められた真意
MVでは非常に残酷な描写が多かったのですが、これは少女が罪を背負いながらも命の限り現実と闘った唄であり、そんな罪と生き方をGACKTが継承した物語となっています。
歌詞からもそのような旨が読み取れます。
奪われたくなければ目を背けるなと
泣くボクに微笑む
『許されぬ罪とこの罰をただ背負って飛べ… どこまでも高く…』
この手で終わらせることだけが
ボクが最後にできることなの?
夜空を優しく見上げるアナタの
零した涙がもう冷たくて
眠るアナタを眺め
罪の継承
人は生まれながらに罪という業を背負っているのかもしれません。また生きているうちに罪を背負う事になるのかもしれません。
それでも本曲では生きるために闘うことから逃げるなと強烈なメッセージを放っています。
3. GACKTの考える「罪」とは
罪っていうのは…存在。もっと極端に言うと、人がこの世に存在することそのもの。
この言葉には非常に考えさせられます。
人間も地球に生み出された命であるのは間違いありませんが、他の生物とは明らかに異なった影響を生態系や地球環境に与えています。
同じ人同士で奪い合ったり傷つけあうなど、その存在を罪と表現するのは決しておかしいことではありません。
有史以来人は罪を重ね続けており、それもまた罪の継承と言えるでしょう。
しかし、罪を抱えても生きろ!と強く訴えているのがGACKTさんらしくてかっこいいですね。
4. 生きる事、闘う事とは"自分で考える”事の上で成り立つ
情報に溢れた時代、知りたいことはネットですぐに見つけられますが、そこには落とし穴もあります。
調べた情報に誤りがあったり、作成者の偏った意思が強く反映されていたりと、自分で考えるという事をしなければ表面だけの情報しか手に入りません。
与えられた情報だけに反応しているだけでは生きていると言えるのか・・・GACKTさんは疑問を持たれています。
自分で考えて、そして貴方はどのように生きるのか決断することが生きる事であり、生きるために闘うということが何よりも重要なのではないでしょうか。