【レビュー・感想】〜ZIPANG〜 HYDEが唄う古き良き日本
1.HYDEが和を唄う意義
HYDEさんはご存じの通り、L'Arc〜en〜Ciel、VAMPS、HYDE名義の3つのチャンネルで広く活動をしています。
HYDE名義での活動は、2000年代初頭の一期と2018年頃の二期に分かれており、二期以降は業界でのキャリアが積み上げられ、音楽的な表現の幅も広まった事から、「HYDE」という核の部分がより一層濃ゆく反映された作品が生み出されています。
また今作「ZIPANG」はシングル発売前からライブで公表するなど、ファンのリアクションを見ながら作品に反映させると言った実験的な試みがされており、HYDEさんとファンが作り上げた至高の一作品となっています。
加えてYOSHIKIさんが作品に参加しており、作品のレベルは更に向上しています。
YOSHIKIさんも音楽に対してはストイックな方ですので、HYDEさんは音楽的な違いから「ZIPANG」も大幅な変化をするのではと予想していたのですが、HYDEさんは以下の様に語っています。
「原曲をちゃんと理解してくれてるんですよね。個性で塗り潰すというか、全然思ってるのと違う方向で来たらどうしようって思ってたところもあったんですよ(笑)。でもちゃんと楽曲を理解したうえで、さらに高みを目指してくれたなあと思って。さすがプロだなあと思いましたね」
YOSHIKIさんはHYDEさんの考えや世界観を尊重した上で、自分の技術を提供しています。これはもう、最高峰の一作と言っても過言では無いのでは無いでしょうか?
そんな最高峰の作品「ZIPANG」ですが、本作品制作の背景には、世界と乖離する日本の音楽業界の現状をHYDEさんが危惧していたという事があります。
HYDEさんは10年以上前にアジア各国を訪れており、K-POPなどのアジアの音楽が世界に目を向けて計算され尽くした楽曲を作っている姿を見て、このまま日本が自国にだけ目を向けた音楽を作り続けていては、いつか世界に置いていかれるという状況を危惧していました。
現状がどうなのかは詳しくは分かりませんが、K–POPの世界での台頭具合を見るとHYDEさんの予測は概ね当たっていたと思います。
そして、HYDEさん自身は自分の音楽、強いては自国の音楽性をよりグローバルな視点で評価してもらい、楽曲の世界をより昇華してもらうためにVAMPSで多くの海外活動をしていきました。
そんな世界で活動をしてきたHYDEさんが、唄う和の歌「ZIPANG」。もともとは英語で作られていた曲ですが、シングルとして生み出された時には日本語となっており、そこにはやはり、世界で歌ってきたからこそ改めて見える日本の良さが反映されているのだと思います。
HYDEさんが和を唄う意義とは、日本の伝統や四季の美しさなどを海外に向けて発信するとともに、国内のアーティストには世界を見て欲しいという裏テーマがあるのだと僕は思います。
2. ZIPANGの美しい世界観
HYDE feat. YOSHIKI - ZIPANG(Japanese Version)
解釈は人それぞれです(逃げ道)が、日本の歌でも、時代は現在と過去を比較している場面も見られます。
歌詞を読んでみると、
昔の日本人は四季を愛おしく感じるくらい感受性が豊かであった。
それは昔の日本の姿が自然と調和した美しき姿(建築、伝統、文化、(神に対する)宗教・信仰など)であった事がそうさせているのかもしれませんが、現代社会の様に心をすり減らしながら生きる事がなかったからだと歌詞からは読み取れます。
それでは人も自然も美しかった頃の日本は消えてしまったのか?というところですが、その姿は日本の各地にまだまだ残っていると歌詞では歌っています。
本作品のPVが京都であった事、壮大な自然や神々しHYDEの姿からも、日本はまだ美しさを失っていないという意味が感じられます。
3. YOSHIKIとHYDEの仲良しっぷりが可愛い
スッキリ!!での二人のやりとりが可愛かったので少し書きます。
①コラボレーションにあたってHYDEさんはYOSHIKIさんの機嫌がいい時を狙って
相談をした。
②YOSHIKIさんの誕生日が近かったので、HYDEさんがプレゼントを用意したところ
美味しくて全部?(かなりの量)を食べてしまった。HYDEさんは後にYOSHIKI
さんがダイエット中であったことを知らされ謝る。
③HYDEさんのYOSHIKIさんに聞きたいことは「朝何を食べるんすか?」
YOSHIKIさん答える「朝は朝ごはんを食べます」。
④HYDEさんのあの格好は世界遺産に勝つため賭けに出た。
YOSHIKIさん「あれはすごい賭けだなー」
⑤HYDEさん、YOSHIKIさんにロスでの食事会に呼ばれ、ついにYOSHIKIさんにしば
かれる時がきたのかと恐怖する。
⑥YOSHIKIさん、HYDEさんからの仕事依頼のメールをHYDEさんからきたと気づか
ず無視をする。
こんな仲良しの二人だからこそ、ZIPANGという名作が生まれたのかもしれませんね。