【ビジネス】一流環境コンサルの課題〜海洋マイクロプラスチックってやっばい奴がおるんやで〜
出典:https://www.gettyimages.co.jp/写真/マイクロプラスチック?mediatype=photography&phrase=マイクロプラスチック&sort=mostpopular
2019年度の環境省重点施策の一つに海洋プラスチックごみの問題解決が掲げられています。
環境コンサルタントの仕事柄、環境省とのお付き合いが少なからずあるのですが、今後はこの手の仕事が少し増えるのかなと想像しております。
海洋プラスチックと聞くと、ビニール袋とかが海に浮いていたり、クジラがそれを食してしまうとかそのレベルの危険性しか感じてなかったのですけれども、いろいろ調べてみると、国の議題に上がるだけの危険性はありそうだったので、簡単にご紹介します。
※本記事は都市清掃VOL.72 NO347を参照してますので詳細を知りたい方はそちらをどぞ。
- 1.マイクロプラスチックという小さな猛威たち
- 2. 環境へのリスクってでてんのかえ?
- 3. 海洋マイクロプラスチックの発生源はどこや?
- 4. 海洋マイクロプラスチックは自由に動き回る
- 5. 二次マイクロプラスチックは河川経由でも流出する
- 6. どんな対策をすればよき?
1.マイクロプラスチックという小さな猛威たち
目に見えるプラスチックごみ達とは別に小さなプラスチックたちが海洋を汚染しているようです。その名もマイクロプラスチック!
海洋マイクロプラスチックに関する定義は無いみたいなのですが、多くの機関や研究者によって5mm以下のプラスチック片を指す事が一般的となっています。
その汚染範囲は北極から南極、海岸から深海底まで海洋全体に汚染が広がっています。
マイクロプラスチック自体が食物連鎖を通して生態系に広まっている事に加え、マイクロプラスチックには何らかの添加材が入っていること、海中にある親油性の化学物質を吸着し濃縮していく特性から、非常に厄介な存在となっています。
何より毎年かなりの量が流出しているのが怖い。
2. 環境へのリスクってでてんのかえ?
怖い!と思うかもしれませんが、マイクロプラスチックやそこに含まれる化学物質による人や野生生物への悪い影響は現段階では観測されていません。
ただし、既に広範囲の魚介類からマイクロプラスチックが検出されており、人間の体内からもMPが検出されてるようです。
けれども、その由来が食物連鎖に起因するものなのか、食品、調味料に含まれていた海洋マイクロプラスチックの影響なのか、飲食物の容器包装によるものなのかは特定できておらず、消化管や内臓への影響についても未知のままです。
科学的に影響が実証されていないだけで本当はどこかで人やそれ以外の生物の体を蝕んでいる可能性は有りますが、影響としては限りなく低いのかもしれません。
3. 海洋マイクロプラスチックの発生源はどこや?
工業原料であるレジンペレットやビーズが直接海洋に流出した一次マイクロプラスチックと、海洋中に流出したプラスチック製品が劣化し欠片となった二次マイクロプラスチックに区別されます。
一次マイクロプラスチックについては業界の自主的な取り組みにより流出が防がれているのですが、二次マイクロプラスチックについては排出経路が分多岐にわたるので、対策がしにくい状況となっています。
4. 海洋マイクロプラスチックは自由に動き回る
プラスチック廃棄物の形態は雑多であり、流出した時点から個々の動向は事なっており、更に年月をかけ劣化し欠片化したものは違う動きをしています。
つまり、マイクロプラスチックの移動距離や影響範囲、深度は素材、利用形態、環境条件によって大きく異なっており、余所の国のごみが他国に迷惑を与える可能性も高いわけです。越境汚染てやつですね。
5. 二次マイクロプラスチックは河川経由でも流出する
二次マイクロプラスチックの流出の一つに河川経由があります。
河川への排出元となる施設には、下排水路及び処理施設、廃棄物埋立地及び投棄地、廃棄物リサイクル施設があるようです。
日本でも出ているのかもしれませんが、設備・維持管理等に費用をかけられない途上国の方が排出量は多いと思います。
以下、少し細かい説明になりますが、技術士(衛生工学)を受験される方は知っておいた方がいいかもしれません。
5.1 下水水路・排水処理施設で集積されたプラスチックの流出
下水・生活排水にはプラスチック廃棄物そのもの、あるいはマイクロプラスチックが大量に含まれています。これらは処理の過程で処理水から汚泥側に移動します。
ですので、汚泥を焼却すればまだいいのでしょうが、海洋投棄なんかをするとマイクロプラスチック濃度が高くなっちゃうのです。
5.2廃棄物埋立地や投棄地
廃棄物埋立地や投棄地に搬入されたプラスチック廃棄物は、紫外線暴露による劣化や物理的な破断によって飛散しやすい状態になったり、雨が降れば表面流出なんかもしちゃいます。
5.3 廃棄物中間処理施設
破砕処理施設は直接及び、間接的に二次MPとなる重要な排出源です。飛散もしかり、排水なんかにも含まれたりします。
6. どんな対策をすればよき?
排出元にごみ処理施設を上げたりしましたが、日本の廃棄物管理はとてもしっかりしていますので、そこからの流出を懸念するよりは、やはりプラスチックごみを路上に捨てたりしないという心掛けが重要な気がします。
他にはプラスチックの使用量を減らすとか、そういう小さな気遣いを皆さんでする事が一番重要だと思います。