【レビュー・感想 前編】 the GazettE 最新作『NINTH』に対するメンバーの想い
アルバム毎に音楽的要素や世界観が大きく異なってきたthe GazettE。そんな結成16年目の彼らの最新アルバム”NINTH"はどのような作品となっているのでしょうか。
本記事では、NINTHというアルバムがどのような背景で生まれたのか、また本作に対しメンバーはどのような姿勢で挑んだのか、下記の本から読み解いて行きます。
Black B-PASS Special Issue the GazettE NINTH Reference Book (シンコー・ミュージックMOOK)
- 出版社/メーカー: シンコーミュージック
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- 1. 『NINTH』はこれまのthe GazettEの軌跡を凝縮したアルバム
- 2. RUKIさんにとっての本作の意義〜過去と今の自分を受け入れ進んでいく〜
- 3. 麗さんにとっての本作の意義 〜表現者、エンジニアとしての探求〜
- 4. 葵さんにとっての本作の意義〜全てはバンドを活かすため〜
- 5. REITAさんにとっての本作の意義〜過去は一つも捨てていない事の証明〜
- 6. 戒さんにとっての本作の意義〜本作は過去があったから自然に生まれた9枚目のアルバム〜
- 7. 最後に
1. 『NINTH』はこれまのthe GazettEの軌跡を凝縮したアルバム
前作DOGMAはコンセプト色の強いアルバムとなっており、曲の一つ一つがアルバムの世界観を表現するために作られています。
逆に今作では、DOGMAの様に世界観やイメージを押し出す事はせず、the GazettEがこれまで培ってきたものが自然と表現される作品となっている様です。
そして、先に創り上げてきた8つのアルバムを踏襲しつつ、これまでの軌跡を凝縮した様な曲が多くなっており、かつ世界観よりも人生観を大切にした作品となっているとRUKIさんは語っています。
本作では一曲一曲に世界があって、それを今のthe GazettEが表現しているとのことです。
2. RUKIさんにとっての本作の意義〜過去と今の自分を受け入れ進んでいく〜
the GazettEは少し前に異端芸者時代のライブを行っています。
このライブ自体は非常にファンの方にも喜んで貰え、やる意味のあったライブだったのですが、RUKIさんの中では、DOGMAを作った頃の自分と、過去のライブを行った後の自分との間にできた乖離にかなり苦しめられた様です。
それ故にネガティブな状況での曲作り、歌詞作りになってしまったと本人は語っています。
しかし、そんな過去の自分と、今の自分を受け入れていく、そういった感情が本作、Fallingには含まれている様です。
そしてそこから、過去と向き合う為に、原点回帰の意味も含めたNINTH ODD SMELLが作られました。
一方で過去を振り返り改めて未来を見据えるという姿勢がUNFINISHDには込められている様です。
3. 麗さんにとっての本作の意義 〜表現者、エンジニアとしての探求〜
麗さんは本作制作にあたって、自分の根底にあるものを曲に反映させる事を重視された様です。
その影響もあって、THE MORTALとBABYLON'STABOOでは麗さんのエモーショナルかつ様々な引出しが大きく反映されています。
THE MORTALではV系がもつ独特のエモーショナルさと、バンド自体がもつ楽曲のセンスと融合させる事で生まれ、かつその姿勢は今後のバンド活動において重要になっていく考えているそうです。
逆にBABYLON'STABOOでは色々な引き出しを持っていないとできない様な難解な曲として作り上げた様です。
どちらの曲も、麗さんの根本の世界観を押し出したものであるには変わりありません。
一方で、ギターの表現の幅を広げる為に、アナログ機材からデジタル機材でのレコーディングにシフトした様です。ミックスも自分で行う様になった為、エンジニアとしてもたくさん勉強をされた様ですね。
the GazettEの持つ音楽性や感性を、PAさんなどの他人の意思によって変更されないように、高純度のままのthe GazettEの音楽を提供することに強いこだわりがあったようです。
4. 葵さんにとっての本作の意義〜全てはバンドを活かすため〜
再定義の頃から葵さんは自分のカラーを押し通すのではなく、バンドや楽曲の求めているものを表現するようになってきているようです。
麗さんが探求者の側面を持っているのとは逆に、葵さんは全体を俯瞰しながら調整するという役割を果たし、今作に挑んだようです。
ただし、バンドのために己を100パーセント殺すと言ったことはないようです。
それは、バンドとは個性のぶつかり合いによって大きなエネルギー、作品が生み出せるという考えがあるからであり、本作でもデジタル録音をした麗さんに合わせるのではなく、あえてアナログ機材を用いるようにしています。
その結果ギターの空気感や距離感のバランスは絶妙なものとなっています。
5. REITAさんにとっての本作の意義〜過去は一つも捨てていない事の証明〜
the GazettEはアルバム毎に数多の変化をしてきたバンドです。それ故に昔の作品が好きだったという人も多くいたのだと思います。(僕自身もそうで、最初NINTHの購入を躊躇っていました。)
前作DOGMAではメタル要素が強く、仮にもし今作でもメタル要素が強くなってしまっては、DOGMAを境にバンドはそちらの方向に進んでしまったと多くの人が思う可能性があった為、れいたさんはそこを懸念されていたようです。
様々な進化を遂げていくthe GazettEであるが、その本質は何も変わらず、何一つ捨てていない。れいたさんは本作においてその事を証明する事を強く意識されています。
6. 戒さんにとっての本作の意義〜本作は過去があったから自然に生まれた9枚目のアルバム〜
NINTHというアルバム名に特に深い意味はないようで、過去のガゼットがあって、その流れから自然に生まれた9枚目のアルバムというのが名前の由来だそうです。
そもそもガゼットは常に新しいものに挑戦をしてきたバンドであり、その過程で得たもの、バンド活動で感じた事をアルバムに反映させてきたのです。
DOGMAやDIVISIONはコンセプチュアルなアルバムもありましたが、それがthe GazettEの本質ではなく、あくまで自分達の一部であり、それとは別にもう一つ主軸があると戒さんは言っています。本作NINTHはそれを証明するためのアルバムでもあるようです。
7. 最後に
少し前に、NINTHを書くか悩むという記事を作成しました。the GazettEは自分の好きではない方向に進んでいるという旨の記載をしており、少し批判的な記事になっていました。
incentive-to-innovation.hatenablog.com
ただ、今回のアルバムが何故生まれたのか、その背景を調べていく中で、the GazettEはファンの事を見捨てたりはしていなかったということが感じられ、文句を言っていた自分が少し恥ずかしくなってしまいました。
本作の楽曲毎の感想等は後日また書いて行きたいと思いますので、よろしければ次回も是非読んでやってください。
incentive-to-innovation.hatenablog.com