【レビュー・感想】DIR EN GREY 京さんの軌跡、性格、芸術家としての才能〜DIR EN GREY の京さんはもっと評価されるべきだと思う〜
DIR EN GREYはテレビなどの大衆向け媒体では取り上げにくいバンドだと思いますが、ミュージシャン、アーティストとしては20年間最前線で活躍しており、実力は間違いなく本物なので、皆さんにもっと興味を持って欲しいと思っております。
そんなバンドの中でも特に異彩を放っているのは京さんであり、知られてない多彩な才能などを本記事で紹介させていただきます。
- 1. 京さんのプロフィール、軌跡※追記(2019/04/13)
- 2 ヴォーカリストとしての才能
- 3 写真家としての才能
- 4. 画家としての才能
- 5. 無意識に徹底されている京という個人・個性
- 6. 最後に
1. 京さんのプロフィール、軌跡※追記(2019/04/13)
1.1 プロフィール
京さんの基本的なプロフィールは以下のようになります。
本 名:西村 宏則
誕生日:1976年2月16日
出身地:京都府
血液型:B型
身 長:160cm
職 業:ミュージシャン、ヴォーカリスト、作詞家、写真家、画家
活動バンド:DIR EN GREY、sukekiyo
ジャンル:ヘヴィメタル、オルタナティヴ・ロック、ロック、アンビエント等
音楽を中心に自らの世界観を広げる活動として、写真家や画家としての一面も持ち合わせています。
近年ではオリジナルキャラクターの「ゼメキス家」を生み出し、グッズ作成やカフェオープンなどの活動の幅を広げています。(詳しくは後述)
1.2 京さんの生い立ち〜DIR 結成まで〜
京都府で生まれ育った京さん。幼い頃はパン屋を経営しているご両親が多忙で、幼少期の思い出や写真といった記録はほどんどなかったそうです。
ただ、決して暗い少年ではなく、小学生の頃は友達と仮面ライダーごっこやゲームで遊ぶ普通の少年だったようです。一方では、特定のグループには属しないなど、少し変わった少年でもありました。
中学生になると、思春期も相まって、世の中に対する不満や疑問を強く抱き始めるようになります。同時にBUCK-TICKやXといったバンドに興味を持ち始めます。(余談ですが、両バンドに引かれた理由は髪型がアニメキャラのようだったからだとか。アニメも好きだったみたいですね。)
バンドと言えばギターという考えがあり、HIDEさんが好きだったこともあって最初はギターに挑戦したのですが見事に挫折してしまいます。その後はベースを借りて遊んだりもしたようですが、基本的にヴォーカリストに惹かれている事もあり、ヴォーカリストの道を選ぶこととなります。
音楽にのめり込んだ京さんは色んな音楽を買いあさって自分に引っかかる音楽を求め始めます。THE STALIN、GASTUNK、メタリカなど様々な音楽を聞いており、激しい音楽を好んだようですが、バンダナが似合うバンドが苦手でメタリカとかには引かれなかったんだとか。
中学を卒業後は京都の中央市場で仕事を始め、同じ市場で働いていたバンドマンからローディーをやらないかと話を持ちかけられ、本格的にその道に足を踏み入れるようになります。ローディーの傍で自らもバンド活動を始めるようになります。
親からは反対もされたようですが、バンドで食っていくと確固たる意志を貫き現在まで活躍をされてきました。
バンド活動においては京さん自身の中で絶対的な理想像があり、それに対して妥協は一切しなかったとのことです。
お客さんの反応を感じるよりは自分が追い求める満足感を感じたいとの思いでステージに立っており、気にくわないことがあればMCで文句を言ったり、竹刀を振り回すなどしていたようです。
後述しますが、この頃から上手く歌うということに関心がなく、その場の空気感や世界観を作り上げることにエネルギーを使っているようでした。
その後はいくつかのバンドを経た後にDIR EN GREYを結成するようになります。
1.3 DIR EN GREY での活動
バンドとしての詳細は下記のリンクを見ていただきたいと思います。
DIR EN GREYの2ndアルバム「MACABRE」では自分のイメージややりたい事を盛り込んだものの、歌や声というものには貪欲に考えていなかったようです。
しかしツアー中に患った突発性難聴により、自分はいつまで歌えるのかわからないと感じ、DIR EN GREYの活動を悔いの残らないようににすべく気持ちを切り替えるようになります。
その後のヴォーカリスト京としての詳細は後述いたします。
1.4 京さんの性格
京さんの自己分析では、自分は人とはうまく行かないという拒絶的な部分があるとのことでした。
実際若い頃は周りからは対人恐怖症と言われるくらい話をしなかったそうで、現在でも積極的に他人と関わることはしないようです。
DIRのメンバーとも距離を保っているようですが、この緊張感が、より良いライブをつくり出すことにつながるとも考えているようです。
一見すると愛想がないようも見えますが、裏はしっかりしているというのが僕の考えです。
SUGIZOさんや千原せいじさんとの対談では常に物腰柔らかく話をされており、礼儀正しく見えます。
また、千原せいじさんとの対談では、「僕は意識して分けてるつもりもないですけど、普段からライブみたいな感じだったら、ただの気狂いですからね。」と発言しており、オンとオフを切り替える事が出来る人なんだとわかります。
同対談では更に以下のような発言をしております。
「そうですね。僕もやりたいからやるだけだし、そのときの瞬発力は高いと思う。今はまたやりたいことがたくさん出てきちゃってるから、これからそれをまたカタチにしていくだけなんですけど、とにかく今は時間がなくて。僕は「これがひとつ終わったら、次はこれ」みたいにはできないんですよね。それぞれが散漫になっちゃうというか。」
火が付くとどこまでも突き詰めるタイプのようですね。
京さんは基本的に芸術家向きの性格なのだと思います。
2 ヴォーカリストとしての才能
2.1 上手く歌う事に興味が無い、追求すべきは歌詩の世界感
DIR EN GREYの歌詩は、ほぼ全て京さんの手によって生み出されています。
メンバーの作ったデモテープを聴いた段階で、曲の世界観を感じ取り、自分の中から生まれてくる感情をそのまま表現し、歌詩としているのとの事です。
それがそのままメロディーとして採用される事もあるとか・・・・
歌詩はバンドの根幹にもある「痛み」を表現するものが多いですが、その内容は聴き手によって様々なとらえ方の出来るものとなっています。
京さん自身も生み出し終えた歌詩は自分の手を離れたものとなっており、聴き手に対して歌詩の意味を押し付けがましく伝えたく無いと言っていました。
ただ、最近発売された人間を被るでは、歌詩も難解なものではなく、ストレートに伝わりやすいものにしたらしいです(それでも聞き手によって感想は変わるものだとは思いますが)。
ライブでは楽曲や歌詩の世界観を追求するために、かつては痛みを表現するために、ライブ中にも関わらず、体を爪で傷つけ血だらけになるなど、楽屋裏で救急車が待機している事もあったそうです。
CD音源とは異なる歌い方をする事もあり、その時の自分の感情や会場の雰囲気などで、表現方法も変わっています。
よく、京さんは歌が下手と言われることがありますが、実はCDにも負けないクオリティで歌う事もできます。
UROBOROS以前は、過激なパフォーマンスやCD音源とはかけ離れた歌い方を行い、楽曲の世界観を表現していましたが、ファンの子に自身の想いが本当に届いているのか?
と疑問を感じられたようです。
その疑問から、自分だけではなくオーディエンスを引っ張って行く必要あると感じ始め、自分の持つ世界観をアルバムUROBOROSに凝縮し、それを100パーセントライブで再現するようにしたようです。
そうして歌う京さんの歌唱力は、CD音源にも劣らないものとなっていました。
2.2 唯一無二のヴォーカリストとしての歌唱能力
以下Wikipedia引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/京_(ミュージシャン)#ボーカリストとして
地声(ミックスボイス含む)での音域は、lowE〜hihiC(3.5オクターブ弱)であり、インディーズ当時より1オクターブ以上も広がっている(ホイッスルボイスの最高音はhihihiG#(G#7))(ROTTING ROOTの3:11付近)。一般成人男性の地声の平均声域はlowG(G2)〜mid2G(G4)(2オクターブ)程度であることから、比較すると、一般的な成人男性の平均値よりも、かなり幅広い声域を持つことが窺える。
様々な歌唱法を使用しており、非常に高い音域のファルセット、グロウルボイス、ガテラル、シャウト、スクリーム、ホイッスルボイスなどを多用する。
上記の歌い方に関して京さんは、色々な歌い方をなんとなく歌えている人は多くいるけど、一つ一つを高いレベルまでに歌えている人はいないと言っており、自身はそれができるようになろうと、研究を重ねていたようです。
鍛錬の結果として、どの歌唱方法も非常にレベルが高く、海外のメタルのボーカリストランキングでも名を連ねるようになったとか。
忘れてはいけませんが、ここまでの歌唱方法を身につけたのは、歌詩の世界観や楽曲の世界観を表現するためだということですね。
3 写真家としての才能
近年の京さんは音楽活動自以外にも絵を書いたり写真を撮るなど、表現の幅を広めていっていますが、京さんが撮る写真は素敵な花や微笑ましい家族写真ではありません。
被写体は、人の手によって作られ、使われ、捨てられ、廃棄物となった忌み嫌割れるものであり、そこには人の負の部分が感じられます。
そういったものに惹かれる京さんは、人の負の部分に対して敏感なのかもしれません。
紛争地帯で、戦争の悲惨さを訴えるカメラマンも人の負の部分を写真に納めていますが、彼らの写真からは負の部分を見つめ直し改善していこうという想いを感じることがあります。
しかし、京さんの撮る人の負の部分の写真からは、環境を綺麗にしようだとかの想いは感じられず、むしろ、「人とはこういう生き物なんだろう」と言われているかのように感じます。
写真家に詳しくはありませんが、京さんの撮る写真もやはり、独特の感性から生まれる唯一無二のものとなっているのでは無いでしょうか。
https://www.cinra.net/interview/201404-sukekiyo?page=2より画像引用
4. 画家としての才能
「輪郭」のCDジャケットは今日さんが作成しております。これまで特に絵の勉強はされてなかったようで、歌詩同様に自分の中の感性をあるがままに表現したと言っていました。
率直に言ってしまえば不気味ですし、何を感じとれば良いのか迷ってしまう絵です。ただ、京さんが自身の中にあるものを目に見える形で表現したときにこのようなものが生まれたのです。
純粋な子供の落書きからは決して生まれない禍々しさ、良識ある大人は決し描かないであろう異常さ、やはりある種の芸術的なセンスがあるのでは無いかと僕は思ってしまいます。
一方でゼメキス家と呼ばれる謎のキャラクターが主人公の絵本作成も手がけております。
可愛いキャラクターが出てくる作品であるのと同時に、非常に考えさせられる作品となっています。
ちなみにゼメキス家はラインスタンプとしてもゆるキャラ?としても登場し、特に人気のあるぺニュとホイというキャラクターがアプリゲームとしても活躍しています。
少し前にはまさかのコラボカフェ展開という。
出典元:https://collabo-cafe.com/events/collabo/dir-en-grey-kyo-the-zemeckises-cafe2019/
こういうのを許可するあたり、なんとなく京さんの人の良さが垣間見えます。
5. 無意識に徹底されている京という個人・個性
5.1 自分の感性を何よりも優先させる
己という存在に制御をかけず、周りの目を気にせずに生きれば、人は他人とかぶる事は決してない。というようなことが雑誌に書かれていました。常に自分の感性を一番に生きてきた京さんだからこそ、独自の世界観、唯一無二の存在となっているのだと思います。
京さんは重要なミーティングの時も眠っていたり(ダイナマイトトミーさんがいる中でも)、ライブの打ち上げにもほとんど参加されないとか。
ライブ後の食事でさへ、シャワーを浴びながらコンビニで買った食事を食べるという、とにかく興味の無いことはやらない、時間をかけないなど無意識に行なっているそうです。
ただし、興味の無い事をやらない代わりに、表現者としての能力を高めることに時間を使っている・・・という訳では無いようです。
表現したいと思った時に表現する事が重要なようで、やはり自分の気持ちを大切にされているのだと思います。
言い方は悪いですが、やりたく無い事はやらない、やりたい事も気が向いたらやる。という感じです。ただし、スイッチが入った時は、とんでも無いものを生み出す。これはやはり一種の才能なのでは無いでしょうか。
5.2 表現者としての容姿
なんども言いますが、京さんは表現者であり、己の中にあるものを見聞きできる形として表現することに強いこだわりを持っています。そのため、容姿も20年のキャリアの中で大きく変化をしています。
典型的なビジュアル系、ジャージ姿であごひげを生やす、坊主のロッカー、骸骨のようなメイク、金髪短髪、宣教師のような格好(一番上の画像)など、年代毎に見た目はだいぶん変わりますが、どれもカッコよくなるのが不思議です。
メイクもですが、身体中に掘られた刺青は京さんの凄みを一層強くさせている気がします。あの刺青を見るだけでも、この人はロッカーなんだなと強く感じてしまいます。
6. 最後に
京さんほど自分の感性にこだわりを持ち、世界観を作り上げているミュージシャンはなかなかいないのでは無いかと思います。
多くのミュージシャンが愛情、別れ、夢、希望、反社会、疑問を音楽として表現していますが、京さんの表現するものは、「生々しい痛み」、「隠された狂気」、「歪な愛」のような、おおよそ一般の人が目を背けているものばかりだと思います。
多くの人が目を背けながらも、内心では抱えているこれらのネガティブな感情を、次々と生み出す京さんはやはり一種の天才なのでは無いかなと僕は思います。
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